北風ブログ-731
2023/1/20 更新
東京−3
東京の話題に戻ります。3回ぐらい前に発信していた東京の話の続きです。
東京2020オリンピック・パラリンピック大会は、いずれも、大いに盛り上がったと言えると思います。世論調査では、オリンピックを「開催して良かった」という意見が62.9%を占めております。しかし、今回のオリンピック・パラリンピックは、ほぼすべての会場で、前代未聞の無観客による開催となり、約865万枚・900億円超とも言われるチケット収入が無くなりました。それだけではなく観客が現地観戦しなくなることで、競技場の周辺などへの交通費や滞在費、お土産などの消費も消えております。2017年に東京都が試算した経済波及効果では、直接的効果として2兆円でした。その内訳として、大会参加者と一般観戦者の消費支出(交通費、宿泊費、飲食費、買い物代、施設利用料等)として2,079億円の需要増が見込まれていましたが、その多くの需要が実際には発現しなかったわけですね。
さらに、2,910億円の需要増が見込まれるとしていたのは、大会開催に伴い販売されるオリンピック・パラリンピック関連グッズの売上やテレビの購入費などの「家計消費支出」でしたが、実に91.7%が「東京2020オリンピック大会を機に購入した商品はない」と回答していることから、購入が増えたわけでもありません。そうですよね、オリンピックのためにテレビを買う人はいませよね。でも、1964年のオリンピックでは、それまでの白黒テレビをカラーテレビに買い替える家庭が多くあったそうです。
ちょっと待ってください、「白黒テレビってなんですか?」 と聞かれる若い方もおられるでしょうね。そうです、昔は白黒テレビでしたのですよ。また、テレビ番組表でも、カラー・白黒と表示されており、カラーテレビでも、白黒となっている番組は、白黒でしか見られなかったのです。
閑話休題
でも、これらの需要は大したことではないのです。2兆円の直接的効果の大半を占める、大会運営費(1兆600億円)や施設整備費(3,500億円)などは、おおむね当初予定どおりに使われ、900億円を超えるとされるコロナ対策費も上積みされたりしたことから、東京都には莫大なお金が投入されたことになります。今問題になっているような贈収賄事件などがありますが、当然落ちたお金は東京都民がその益を享受できたことになります。道路が整備され、公共施設が立て直されて、交通が改善される、さらに新たな雇用が生まれます。
お金は社会のどこから流しても最終的には庶民がそれを享受します。それはオリンピックという受け皿でもいいですし、万博という受け皿でもいいのです。2000年初頭、ヨーロッパが不景気だったことドイツの医学者と話をしたことがあります。ドイツ政府はどこにお金を流したか説明してくれました。ドイツ政府は教育と研究資金にお金を投入しました。そのため、ドイツの医学研究は大幅に進みましたし、国民の教育レベルも向上したそうです。研究資金といっても、実剣機器を買ったり、実験助手を雇用したり、最終的には国民の財布にお金が流れていきます。そうすると国民の消費が増えて、お金が社会に流通して、動くために経済が良くなるそうです。
なるほどですよね。お金を社会の中でぐるぐると回すことが景気が良くなるということなので、どこからお金の流通を始めるか、その起爆剤が欲しかったということで、それが東京オリンピックだったということですよね。